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D-76 希釈の使い方(原液・1+1・保存期間・補充液まとめ)

初出 データ確認

図1:この記事に関係する組合せの現像時間(6件)
現像時間(分)Adox CHS 100D-76 / stock / EI100 / 20℃7分Adox CHS 100D-76 / 1+1 / EI100 / 20℃10分Adox CHS 100 IID-76 / stock / EI100 / 20℃6.5・6.5・5.75分Adox CHS 100 IID-76 / 1+1 / EI100 / 20℃9・9・8分Adox CHS 25D-76 / 1+1 / EI20 / 20℃5分Adox CHS 25D-76 / 1+3 / EI25 / 20℃9-10分
カルテに入っている一次資料の値をそのまま棒の長さにした図。数字は元の表記のまま(範囲や複数値はそのまま出す)。出典:digitaltruth.com確認日 2026-07-27
図2:希釈 1+1 の体積比
希釈 1+1原液 1 : 水 1(この記事のデータで 3 件)原液全量を 2 とすると、原液は 1/2(50%)例:仕上がり 600mL なら 原液 300mL + 水 300mL比率1:1
表記の定義をそのまま図にしたもの(1+3=原液1に水3)。仕上がり量の例は比率からの割り算。

D-76は原液のまま使うか、1+1(1:1)に薄めて使うかの2択です。原液は保存が利いて処理本数も稼げる代わりに粒状性はやや粗め、1+1はシャープネスが上がる代わりに粒状性がわずかに増え、しかも使い切り(補充・再使用不可)。この違いと、保存期間・処理能力・補充液(D-76R)の使い方をKodak公式のデータシートから整理します。

出典:Kodak J-78「D-76 Developer」https://business.kodakmoments.com/sites/default/files/wysiwyg/pro/chemistry/j78.pdf 、日本語版TSC0460 https://www.kodakalaris.co.jp/images/TSC0460-D-76.pdf 。確認日:2026-07-22。

Kodak D-76 Professional Developer
Kodak D-76 Professional Developer.jpg(Wikimedia Commons)/Public domain

希釈の選び方

希釈 使い方 特徴 再使用
原液 補充液を足しながら繰り返し使える 粒状性は1+1よりやや粗い 可能(下記の処理能力・補充参照)
1+1 使用直前に希釈し、1回使ったら廃棄 シャープネス増・粒状性はわずかに増える 不可(補充・再使用ともに不可)

出典・確認日は上記と同じ。

保存期間

未開封・希釈前の原液の話です。1+1に希釈した液は保存がきかず、その場で使い切る前提の数値になっています。

保存状態 保存期間
満タン・密栓 6ヶ月
半分残り 2ヶ月
浮き蓋タンク 1ヶ月
トレー(開放) 24時間
1+1使用液(希釈後) 24時間のみ

出典・確認日:Kodak J-78 https://business.kodakmoments.com/sites/default/files/wysiwyg/pro/chemistry/j78.pdf 、TSC0460 https://www.kodakalaris.co.jp/images/TSC0460-D-76.pdf 、2026-07-22。

満タンで密栓できるかどうかで倍以上保存期間が変わるのが分かります。薬瓶に余裕があるなら、使った分だけ小瓶に移し替えて空気に触れる面積を減らすのが理にかなっています。

処理能力と補充

原液を補充せずに使う場合、Kodakの数字ではこうなります。

条件 処理できる本数
1ガロン(3.8L)・無補充 135-36判または120を16本、または8×10シートを16枚
4本ごとの延長 現像時間を15%ずつ延長
D-76R(補充液)を使用 時間延長せずに120本/ガロンまで拡張可能

出典・確認日:同上、2026-07-22。

つまり無補充で使い続けると、本数が増えるごとに現像時間を伸ばして疲労した薬液を補う必要があります。逆に補充液のD-76Rを使えば時間を毎回変えずに済み、処理できる本数も大きく伸びます。本数をこなすなら補充運用、たまにしか現像しないなら使い切りの1+1、というのが公式データからの素直な読み方です。

混合温度52℃について(一次資料には無い注意点)

D-76を粉から溶かすとき「52℃のお湯で混ぜる」という目安をよく見かけます。この52℃という数値は、KodakのJ-78にも日本語版TSC0460にも見つけられませんでした。多くの現像者が使っている目安ではあるものの、公式データシートに記載があるわけではない、という位置づけで扱ってください。粉薬品を溶かす際の一般的な注意(高温すぎる湯は薬品を劣化させる、完全に溶けてから既定量に薄める)はデータシートにも共通して書かれていますが、「52℃」という具体的な数字そのものの一次出典は僕の方では確認できていません。

参考:Tri-X 400の現像時間(20℃)

フィルム 希釈 20℃の時間
Tri-X 400 原液 6¾分
Tri-X 400 1+1 9¾分

出典:Kodak J-78/TSC0460、確認日2026-07-22。詳しい早見表はTri-X 400の現像時間まとめに載せています。

目安であることについて

保存期間・処理能力・現像時間はすべてメーカーが公表している目安です。実際の薬液の状態は保管環境・使用頻度・水質で変わります。大事なフィルムの前には必ずテスト現像をおすすめします。現像は自己責任で、薬品の取り扱いは各製品の安全データシート(SDS)に従ってください。

データを図で見る

下の図は全部、うちのカルテに入っている一次資料の値だけを描き直したもの(新しい数字は作っていない)。実写の作例は出していない=写りの評価はしない方針。

図:同じフィルムでも現像液で何分変わるか(最短〜最長)
0分2.5分5分7.5分10分Adox CHS 1007–10分Adox CHS 100 II6.5–9分Adox CHS 255–9分
青が最短、オレンジが最長。2件以上のデータが在るフィルムだけを出している。出典:digitaltruth.com確認日 2026-07-27
図:現像液ごとの現像時間の幅(最短〜最長)
0分2.5分5分7.5分10分D-765–10分
同じ現像液でもフィルムと希釈で幅が出る。2件以上在る現像液だけ。出典:digitaltruth.com確認日 2026-07-27
図:希釈 1+1 の体積比
希釈 1+1原液 1 : 水 1(この記事のデータで 3 件)原液全量を 2 とすると、原液は 1/2(50%)例:仕上がり 600mL なら 原液 300mL + 水 300mL比率1:1
表記の定義をそのまま図にしたもの(1+3=原液1に水3)。仕上がり量の例は比率からの割り算。
図:希釈 stock の体積比
希釈 stock原液のまま(希釈しない)(この記事のデータで 2 件)原液タンクに入れる液は全量が原液
表記の定義をそのまま図にしたもの(1+3=原液1に水3)。仕上がり量の例は比率からの割り算。
図:希釈 1+3 の体積比
希釈 1+3原液 1 : 水 3(この記事のデータで 1 件)原液全量を 4 とすると、原液は 1/4(25%)例:仕上がり 600mL なら 原液 150mL + 水 450mL比率1:3
表記の定義をそのまま図にしたもの(1+3=原液1に水3)。仕上がり量の例は比率からの割り算。
図:この記事に関係するデータのフィルム別の件数
件数Adox CHS 1002 件Adox CHS 100 II2 件Adox CHS 252 件
件数はデータの厚みで、良し悪しではない。出典:digitaltruth.com確認日 2026-07-27
図:この記事のデータの現像時間の分布
件数5分未満0 件5〜8分3 件8〜11分3 件11〜15分0 件15〜20分0 件20分以上0 件
分の数値が取れた行だけを数えている。出典:digitaltruth.com確認日 2026-07-27
図:モノクロ現像の工程の並び
1前浴水(省く処方もある)2現像液温と時間が結果を決める3停止停止液または水4定着ハイポ/急速定着5水洗流水または交換法6乾燥水切り剤ののち吊る
工程の順番だけの自作図。時間と液温は薬品ごとに違うので数値は書いていない。
図:現像タンクの断面(どこに何が入るか)
遮光された注液口(明室で液を出し入れできる)蓋(撹拌のとき外れないか毎回確認)リール=フィルムを巻く溝液(リールが完全に浸る量まで)タンク本体撹拌=反転
位置関係だけの自作図。容量や寸法は製品ごとに違うので入れていない。
図:サイト全体でデータが多い現像液(上位10)
件数510-Pyro99 件D-7669 件Acufine65 件HC-11042 件Acurol-N35 件ID-1130 件ACU-128 件Adox HR-DEV28 件Atomal 4927 件Eco Pro21 件
うちのDBの厚みの偏り。少ない現像液は資料が取れていないという意味で、良し悪しではない。出典:digitaltruth.com / digitaltruth.com / digitaltruth.com確認日 2026-07-27
図:サイト全体でデータが多いフィルム(上位10)
件数Adox CHS 10048 件Adox CHS 2540 件Fomapan 10031 件Adox CHS 100 II30 件AgfaPhoto APX 10029 件Arista EDU Ultra 10024 件Ilford HP5+22 件AgfaPhoto APX 40021 件Adox Silvermax19 件Fomapan 40019 件
同じくDBの厚み。出典:digitaltruth.com / digitaltruth.com / digitaltruth.com確認日 2026-07-27
図:希釈の表記の分布(サイト全体・上位8)
件数stock327 件1+1102 件1+10099 件1+983 件1+5048 件1+333 件1+1030 件1+1928 件
どの希釈で資料が書かれているかの分布。出典:digitaltruth.com / digitaltruth.com / digitaltruth.com確認日 2026-07-27
図:この記事の図の元になっているDBの規模
件数現像時間の行(組合せ)1165 行フィルム(乳剤)の点数176 点現像液の点数162 点希釈の表記の種類80 種
数えただけの図。英語の Massive Dev Chart(18,000件超)にはまだ遠い=どこまで在るかを隠さずに出す。出典:digitaltruth.com / digitaltruth.com / digitaltruth.com確認日 2026-07-27

図の元データは現像時間の一覧に全部載せている(絞り込みできる表)。値の取り違えを見つけたら出典のリンクから原文を確かめてほしい。

よくある質問

QD-76の1+1希釈は再利用できますか
A

できません。Kodakのデータシートでは1+1は使用直前に希釈し、使い切ったら廃棄する一回限りの使い方として書かれています。補充液(D-76R)を使うのは原液のタンクだけです。

QD-76を混合するときの温度は52℃で合っていますか
A

52℃という数値はKodak J-78・日本語版TSC0460には記載を確認できていません。現像者のあいだで広く使われている目安ですが、この記事では一次資料に無い情報として区別しています。

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